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マネジャーとリーダー

マネジャーとリーダー、
マネジメントとリーダーシップ。
ごちゃ混ぜで使われていると感じませんか?

経営者って、リーダーなの?マネジャーなの?
部長はマネジャー、だけど、リーダーシップも求められる。

ずっーと、気持ち悪い感じがしてました。
これて、リーダーシップっていうより、マネジメントだよなぁ。
リーダーがやるべき?マネジャーがやるべき?リーダーって誰?
みたいに。

僕なりの、この2つの言葉、2つの存在の定義をご説明します。

HRLLC.(弊社)は、初任のマネジャー向けの研修をやらせていただくことが多いです。
研修の際に、こんなふうに説明します。

マネジャーの役割は、大きく2つ。
①組織を運営していくことと
②業績を拡大していくこと

①組織を運営することは、内向きな矢印です。
内向きといっても悪い意味ではありません。良い意味です。
組織がうまく機能しているか、関係性、適材適所、人材育成がうまくいくようにあの手この手を使って何とかする。社内に目を向けていきます。

対して、
②業績を拡大していくことは、外向きの矢印です。
市場や顧客、会社の外に目線を向けます。
新たな案件、新たな顧客を獲得していくことが求められます。

マネジャーには、この2つの役割が求められます。

②業績を拡大していくことは、マネジャーじゃなくても、やらなければならないことですね。
営利組織にいれば、社員皆が業績を拡大していくことを求められます。
業績を拡大していくために、率先して行動していくこと=リーダーシップです。
営利組織じゃなくても、サービスの安定した提供やサービス受給者の拡大のために率先して動くことが必要ですね。

つまり、新入社員でも、ベテラン社員でも、誰でも、その組織に属しているのであれば、リーダーシップが求められるのです。
自ら率先して、行動する。これが、リーダーシップ。

とかく、業績のよい、つまりパフォーマンスの高い人が評価され、昇格し、マネジャーになります。
つまり、外向きの矢印が強い人が、マネジャーになりがちです。というか、ほぼそうでしょう。
高い評価を得ることで、昇進するとマネジャーになるのが、旧来の日本の人事制度だからです。

もともとリーダーシップを発揮していた人=リーダーが、高い評価を得て、マネジャーに昇格するのです。
すると、求められる矢印が増えます。
業績の拡大の外に向けた矢印だけではなく、組織をうまく運営していくための内向きの矢印も求められるのです。
向きの異なる2つの矢印を、両立させなくてはならないのです。

だから、ごちゃ混ぜになるんですね。
マネジャーに求められることは、マネジメントとリーダーシップの両立です。
この2つの矢印の理解、役割の理解ができていないと、
ハイパフォーマーの剛腕リーダーシップを発揮するマネジャーに、組織は振り回されることになります。
もっと稼げー!俺は稼げるんだから、お前らも稼げ―!できるはずだぞー!と。
最悪、パワハラ行為に繋がったり、メンバーのメンタルに影響したり。。。
ハイパフォーマーマネジャーにありがちではないでしょうか。

また、日本では、戦後からバブル期まで、ずぅーっと経済成長してきました。
これが、日本のマネジャーが健全に発達できなかったひとつの理由だと思います。
1950年代から1990年代まで約40年間も、モノは売れ続け、会社も大きくなり、マネジャーも増えました。
業績が拡大していくので、マネジャーは「管理」しているだけでよかった時代です。
部下がしっかり働いているかを「管理」しているだけで、業績は上がっていったのです。

つまり、組織運営の内向きの矢印を、鍛える必要がなかったということです。
かつては、やることがほぼ決まっていたので、経験値の高い人が仕事ができる人でした。
つまり、ハイパフォーマーであればあるほど、管理することができたのです。

ところが、VUCAと言われるこれからの時代は、
メンバー一人ひとりが高いパフォーマンスを発揮してくれないと業績は向上しません。
仕事は、細分化、高度化し、ネットワークでつながり、複雑化し、
マネジャーが業務の細部まで把握することは難しいし、効率的ではありません。
メンバーひとりひとりのパフォーマンスを引き出すマネジメントが必要になのです。

サーバントリーダーシップ、ボトムアップ型のリーダーシップなど、
まさにそういった環境下から生み出された、メンテナンス型のリーダーシップスタイルです。
最近、流行りのオーセンティックリーダーシップも、マネジャーがありのままであること、
本音を共有することで、メンバー自身も本来のパフォーマンスを発揮することができるという点で、
メンテナンス型のリーダーシップと言えます。

マネジャーが意志を示しながらも、メンバーの意志も尊重する、指示命令だけではない、
相互尊重型の新しいマネジメントスタイルと言えるでしょう。

昔ながらのマネジャーは、管理していれば業績は向上するという過去の幻想から、
もうそろそろ目覚めた方がよさそうです。
多くの人は目覚めてますよね。

つまり、メンテナンスとパフォーマンス、マネジメントとリーダーシップ、
どちらがよい悪いということではなく、どちらも求められているのです。

マネジャーは、自らの意志を示し、ビジョンを掲げ、覚悟を示さなければならない。
あわせて、メンバーの意見を聴き、取り入れ、共有し、さらにメンバーのパフォーマンスを引き出す。
メンバーも、ミッション・ビジョンにコミットし、自己実現と両立するように、組織に貢献する必要があります。

チームとしての相乗効果を最大化することがマネジャーがなすべきことであり、
これからの時代のマネジメント、リーダーシップなのではないでしょうか。